あの日あの時あの場所で、君だけが僕を見つけてくれた















うっすらと瞼を抉じ開けると、見慣れすぎてもう飽き飽きする、けれどまだ怖いと感じる闇が視界を覆っていた。
どれだけ眠っていたのか知れない。ただ、麻衣と繋がっているときだけは、止まった時間を再び感じられる気がしていた彼は、麻衣に逢いたいな、とぼんやり思った。
彼はふと、だから、麻衣と会うときはいつも嬉しいのだろうか______________・・・・・と自問した。
失くした時間を感じさせてくれるから、麻衣と逢いたいのだろうか。
否、とジーンは自答する。

それだけじゃない。彼女は「特別」だから。
それは、僕にとってでもあるし、同時に彼にとって、でもある。


いつの間にか閉ざされ、時間という壁が出来て、麻衣よりももっと、遠くなってしまった片割れ。
彼にとっても、彼女は特別で、そして誰より大切な存在だ。


二人にとっては、彼女は光であり、存在し続ける上での希望である。
麻衣と逢いたいと思うのは、彼女の、輝いて溢れんばかりの笑顔が見たいから。その存在を、確かめたいからだ。


そして。

(麻衣だけが__________________・・・僕たちを見つけてくれたから。)


こんな所にいる自分を。他人に心開かないナルを。彼女は見つけて、愛してくれたから。



(そしてこれからも、きっと。)




そう思って再び、ゆっくりとその瞼を閉じた。
彼女と、ナルと、今とは全く違う形で、それも現実で。逢うことは遠くない。
そうなったら、ナルのことを笑顔いっぱいにお父さんと呼んでやろう。と、楽しみに思いながら彼は眠りの海へと沈んで行った。













短・・・。
しかもありがち。;;
ちなみに麻衣のお腹には男の子が宿っています。