なんていうか、本編あまり関係してないです。

飛ばしても何ら不都合はありません。

ナルと麻衣がいちゃこらしてるだけです。

全然怖い要素
無いです。

むしろ大人的要素が・・・あることもない(何だそりゃ)

12禁・・・?
いや全く大したことないんですけどね。


よっしゃどんと来い!うけとめたる!て大人な方はスクロォル。






後書きかもしれない。

あんま本編関係ナシ!!!(オイ)
続きを待っていた方、申し訳ございませんでした。ただのいちゃいちゃ小説になってしまいました(笑)
まぁ、「夜闇〜」は、ただ「ナル麻衣」で「ナルが麻衣を心配」して、「麻衣ちゃんピンチ!」という
三つを描きたかった為だけに誕生した小説ですので、しょうがない(待て)
ていうかめちゃくちゃ甘くないですか!?ナルが優しいっていうか、またしても偽者御代・・・orz;;
「ナル」を書けるように、精進いたします・・・(汗

ついでにいいますと、その後ナルは結局「あんな事あったあとなのに、流石にダメ!」と麻衣に言われ、
報復はならなかったようです(笑)
意味が判らない方はその純情を大切にして下さい。

一番居た堪れないのは故小林家の方々だと思。












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それからあたしたちは、それぞれ帰宅路についた。
あたしはナルと一緒に、リンさんの運転してくれる車で。真砂子と綾子はぼーさんと一緒に。


家に向かう途中の車の中も、あたしの頭の中は、さっきあったことでいっぱいだった。

夏望ちゃんのこと、夏希さんのご両親のこと
そして、犯人の、こと。



どうしてころしたりしたんだろう。
どうしてあのひとたちだったんだろう。

どんな気持ちでころしたんだろう。
どんな気持ちでころされてしまったんだろう。


どんな気持ちで・・・逃げろと言ったの。



通り過ぎていく人たちや町並みをずっと見つめながら、あたしはそればかりをぐるぐると考えていた。




























「着きましたよ」

リンさんの声があたしの意識を覚醒させた。どうやらずっとぼーっとしていたみたいだ。
車のドアを開けて、車から出る。
続いてナルが出てくるのを、ドアを開けたまま待った。


そしたら、いつもとちょっと違うナルの瞳と目が合った。



ナルは優雅な仕草で車から出ると、あたしより幾分高くなった背を屈ませて、あたしの瞳を覗きこんでくる。
ナルの綺麗な顔がすぐ目の前にあって、心臓がいきなり急ピッチで動き出すのを感じた。


「な・・・っ何?」
「・・・・・・・・・・・・いや」

あたしが照れつつ、怪訝そうに訊くと、ナルは覗き込むのをやめて、あたしの隣を通り過ぎた。
その間際に。



長い、綺麗な指が、あたしの頭を一瞬だけ撫ぜる。

「少し、心配しただけだ」


ナルが、ものすごく。ものすごく小さな声でボソリと呟いた。
すっごく小さい声だったけど。あたしにはかろうじて聞こえてしまった。
頭には、すぐに放れて行ってしまった手の、感触がまだして。

あたしがキツイときに限って、優しくして来るんだからっ。


「・・・・・・っずるい!!!!」

そしてあたしは振り返って、マンションに向かっていくナルの背を追って駆け出した。

残されたのはリンさん一人(と車)。



「・・・・・・・・・・・・・いちゃつくなら、よそでやって下さい・・・」
そんな、悲しい三十路の男の呟きは、空へ消えてしまった。







*************************


で。
ナルの部屋に着いて。
あたしはちょっと自己嫌悪。


さっきまでずっと沈んで、あの事件のことばかり考えていたのに。
ナルの一挙一動で、すっかり嬉しい感情に染まってしまっていた。



現金・・・というか、申し訳ない、というか、罪悪感?
うん。



「玄関の前で何突っ立ってる。早く入れ」


リビングに入って、ソファですっかり仕事モードになっているナルが、声をかけてくれた。
珍しい。いつもなら、真っ先に部屋に入って何時間でも篭ってるのに。


・・・・・・・心配。してくれているのだろうか。





ああ。また。
嬉しくなってしまった。
小林家で起こったことは、とてもとても悲しくて、怖い、ことなのに。
気持ちは、はっきりと、沈んでいるのに。

ナルが、あたしを心配してくれるってことが、こんなに嬉しくて。



(__________________あの人たちは、亡くなってしまったのに)
もう二度と、生身の身体で、愛しい人と温度を確かめ合うことすらできないなんて。
ものすごく、ものすごく、悲しいことだよね。




てとてとと、ソファで長い脚を組みながらファイルやら資料やらをめくるナルに近づいて。
ナルの隣に、腰を下ろして。


「心配、してくれた?」
「・・・・・・」
返事なし、か。いいけどね。

「亡くなったひとたちは・・・もう、こうやって、触れ合ったりすることは、できないんだね」
言って、ナルの肩にぽすりと頭を乗せる。
ナルは、相変わらずだんまり。
でも、抵抗もしない。

「死んじゃったら・・・もう、ナルに触れないんだ、ね」
それはやだなぁ。と
むぅと顰めた顔で言うと、ナルの左手があたしの頭に伸びて来て、くしゃりと撫でた。

さっきよりも、しっかりと。
でも優しく。
宥めるみたいに、頭をなでて。時折髪の毛を弄って。



その体温に、とても安心する。
ナルの目は、相変わらず見るだけで目が痛くなるような横文字がつらつらと並べてある紙に落ちているけど。
右手は、相変わらずその紙を捲っているけど。

ナルの手が、あたしに触れているっていうだけで。
とても安心する。
あたしもナルも、ちゃんと生きているんだって、実感する。




「でもさ」
そっと、唇に言葉を乗せる。
ちらりと、真横にある綺麗な顔を見たけど、やっぱりあたしには向いていなくて。
ちょっと寂しかったけど、まぁいいかと思えた。

撫でてくれる手は止まっていないから。


「生きてるうちに、イヤってくらい触ってれば、未練もないかな?」

だから、いっぱい触って?と呟けば。
ほんのちょっとだけ、ナルが微苦笑を浮かべた。
返事の代わりに、ぽんぽんとあたしの頭をたたく。


自然と笑みが零れる。

ナルが、ここにいて。
あたしも、そこにいて。

あぁ。
なんだかもう。
それだけでいいみたいだ。



少し名残惜しいけど、あたしはナルに委ねていた頭を起こし、立ち上がった。
「ご飯、つくる・・・・・・ね」


る と、 ね に間が出来てしまったのは。
ナルがあたしの手首を掴んでいたからで。


「な、ナルちゃん?何故に掴んでいるのかなー?」
この流れは。
ちょっと身の危険を感じて、あたしは身を引こうとするけど、ナルは離してくれなくて。
「な、ナル〜?」

これじゃご飯がつくれないよ、と漏らすと。
今はあたしよりも下にあるナルの両目が上目遣いであたしを捉えた。


(〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!)
これは、反則だ。

上目遣いって・・・上目遣いって、凶器!!



「・・・・・後悔、したくないんだろう?」
ナルが、唇の端を上げてにやりと笑った。
「ゃっ、あの、ね。それは、ものの例えってやつでして・・・」
「イヤってくらい触っておいて、未練を残したくないのだろう?」
ヤバイ。
この展開は、ヤバイ。
冷ややかな汗が背中を撫でる。


「な、ナルさん・・・?」
「後悔、したく、ないんだろう?」
ナルが腕の力を少し強めて、口元を更に歪めた。

危険だ!!
この楽しそうな顔をしたナルは、あたしの経験上、色んな意味でとても危険だ。

あたしはどうにかこの手を振り解こうとするが、ナルはそれを許してはくれなかった。
「ぅわっ・・・・っ」
あたしの腕をぐっと強く引っ張って、体ごと引き寄せる。
あたしは見事に、ナルの腕の中にすっぽりと収まってしまっていた。



「ナルっ・・・てば、ご飯!つくらないと!」
あたしは必死にもがくけど、ナルがあたしを抱きしめる力を更に強めて、あたしの抵抗は無に帰した。
「後でいい」
「あたしは良くないのー!」
大き目の声を張り上げれば、ナルはうるさいと言わんばかりに深く眉を顰める。

「塞がれたいか?」
その口。と囁いて、ナルはあたしの下唇を親指で撫でた。
ただならぬ色気を感じて、あたしは「遠慮シマス・・・」と呟いた。


何分か、ヘタすれば十数分かたった後。
ナルはというと、何をする訳でもなく。ただあたしを抱きしめているだけで。


「・・・・・・・・・・ナル〜」
「・・・・・・・・・・・・・」
「ナル〜ナルナルナル」
「連呼するな。何だ」
「このまんま?ずっと?」
「ほう。何かして欲しいのか。」
にやりと、楽しそぉ〜に唇を吊り上げて、首筋にふぅと息を吹きかけて来た。
「・・っ!ちっ、違うっての!!ばか!!」
「心外だな」

言ってナルは、あたしの肩に頭を預ける。
珍しい。ナルがこんな行動。甘えてる?
「ナル?」
「・・・・僕も」
「?」


「後悔はしたくないからな」
首筋に暖かな温度。
ちゅうと音がして、ぴりと小さな痺れを感じた。

「なっ、何してっ」
「言っただろう?未練を残したくは無い」
「都合の良い使い方するなぁっ!」
ばかー!と、ぽかぽかナルの肩を叩くが、無視。

ナルは少し離れたところにもう一つ唇を落とした。


「・・・・っそんなトコにつけないでよ、見えるじゃんか・・・」
ぼーさんとかに気付かれたらどうすんのさ。
「・・・見せてやればいい」
「ヤダよっ」
そんな恥ずかしい事できるか!
安原さんとかに見つかったらきっと笑顔で遊ばれる!

「持ち主がいるという証みたいなものだ」
「あたしは犬かッ」
「・・・大して」
「変わるわ!」
馬鹿にしてんのか!と心の中で毒づいて、じたばた手足をばたつかせて抵抗していると、はた、と思い立った。



これは、甘えている、、というか。
あたしの存在自体を、抱きしめて確かめている、というか。




「・・・・・・・・・・・ナル。もしかしてさぁ」
あたしがぴたりと抵抗するのを止めたのを不審に思ったのか、ナルが少しだけあたしの顔を覗きこむ。
「ほんとに、心配してくれたりとか、してた?」

ナルの二の腕のあたりの服を、少しきゅうと引っ張って。
小首を傾げて訊けば、ナルは一呼吸置いてから、あたしの首元に再び顔を埋めた。


「・・・・・・ナル」
「心配してない」

やけにキッパリ言われて、ちょっと悲しかった。


「わけ、ないだろう。この馬鹿」

悲しかったから、続いた言葉を耳にしたら、やけに気分が浮上したのを感じた。


「・・・えへ」
「・・・・・・・」


確かに、目の前で一日何回も倒れたりされたら、誰でも少しは心配するよね。
ただ、あのナルが、あたしに。心配してくれたのが嬉しくて。

「ぇへへへ」
「うるさい」

あたしが惜しげもなく笑顔でにやついていると、照れからか、本当にうるさかったのか。
ナルはあたしの頬を抓って力いっぱい横に伸ばした。



「いーたーいーよー」
でも、緩む頬は止められない。だってしょうがないじゃんか。嬉しいんだから。
「そのしまりの無い顔をどうにかしろ。そしたら離してやる」
「ナルがいけないんだぁっ」

不意打ちで優しかったりするから。



ぱ、と手を離しても。あたしは笑顔で。
そこに、ちょっとした負けの悔しさを感じたのか、ナルは



「今夜は覚悟しておけ」


という棄て台詞を投下したのだった。